この記事の要点:白山(御前峰2,702m)に初めて登るなら、別当出合から砂防新道で室堂へ登り(6.0km・登り約4時間)、室堂で1泊して翌朝山頂へ向かう1泊2日が基本です。日帰りも不可能ではありませんが、往復で長い行程になるため体力に自信がある人向けです。11月に入った今は登山口へ続く白山公園線が冬期通行止めになる時期で、山頂部は雪と強風の世界。初心者は来年の夏山シーズンに向けて計画と装備を整える時期と考えてください。
(2026年11月2日更新:2026年の道路・駐車場・登山道の公式情報と、石川県警の資料にもとづく各コースの距離・標準時間を加え、季節ごとの服装と持ち物を書き足しました)
最新の登山情報(2026年11月2日確認)
- 登山口への道路(白山公園線 市ノ瀬〜別当出合):2026年は5月22日11時に冬期通行止めが解除されました(区間約5.4km)。前のシーズンは2025年11月13日11時に冬期閉鎖されています。今シーズンの閉鎖日は石川県の発表を必ず確認してください。(石川県 道路整備課の発表)
- 別当出合駐車場:2026年は混雑するお盆の時期(8月14日の4時〜12時の来場)に、別当出合駐車場の事前予約制の社会実験が行われました。室堂・南竜の山小屋に泊まる人も予約の対象で、市ノ瀬駐車場は予約不要でした。来シーズンも実施されるかは環境省の発表を確認してください。(環境省 中部地方環境事務所)
- 登山道:エコーライン(弥陀ヶ原線歩道)は2026年6月25日に通行止めが告知され、9月11日に通行再開。平瀬道の通行止めは10月7日に解除されています。(環境省 白山国立公園 トピックス)
- 登山届は義務:白山の活火山地区(火口域から4kmの範囲)を登るときは、条例で登山届の提出が義務になっています。火口域から2kmの範囲を届出なし・虚偽の届出で登ると5万円以下の過料の対象です。登山口のポストのほか、インターネットやスマートフォンからも出せます。(石川県警察「白山安全登山のしおり」)
- 夜間登山は禁止、テント泊は南竜ヶ馬場だけ:白山では夜間の登山が禁止され、テントを張れるのは南竜ヶ馬場のみです。(観光庁 多言語解説文「白山登山について」)
- 山小屋の予約:白山室堂予約センター 076-273-1001、南竜山荘予約センター 076-259-2022。営業期間や来季の予約開始は各予約センターで確認してください。
この時期の白山は、道路が閉じると登山口まで車で入れなくなり、登山の難しさが一気に上がります。冬の白山は雪山の経験者の世界です。この記事では、来シーズンに初めて白山を目指す人に向けて、コース選び・山小屋・服装を順に説明します。
白山はどんな山?初心者が知っておきたい基本
白山は石川・岐阜・福井にまたがる山で、最高峰の御前峰は2,702m。富士山・立山と並ぶ日本三霊山のひとつで、日本百名山にも選ばれています。約40万年前の火山活動でできた今の白山は活火山で、登山届が義務になっているのもそのためです。
登山道を登ると、ブナ林からダケカンバの林へ、さらに上がると高山植物の広がる景色へと変わっていきます。室堂の手前に広がる弥陀ヶ原の木道は、白山の象徴ともいえる景色です。7月下旬から8月の土日祝日は登山道も山小屋も混み合います。
白山の登山コース(初心者・中級者・上級者)
距離と時間は石川県警察「白山安全登山のしおり」に載っている標準時間です(休憩を含みません)。宿泊地には遅くとも日没の2時間前に着く計画にしましょう。
- 砂防新道:区間 別当出合〜室堂 / 距離 6.0km / 登り 4:00 / 下り 2:30 / 向いている人 初心者
- 観光新道:区間 別当出合〜室堂 / 距離 6.1km / 登り 4:50 / 下り 3:00 / 向いている人 中級者(下りに使うと楽しい)
- 砂防新道〜南竜道:区間 別当出合〜南竜ヶ馬場 / 距離 4.9km / 登り 3:00 / 下り 2:00 / 向いている人 テント泊・南竜山荘泊
- 平瀬道:区間 大白川〜室堂 / 距離 6.9km / 登り 4:10 / 下り 2:50 / 向いている人 中級者(岐阜側から)
- 白山禅定道〜観光新道:区間 市ノ瀬〜室堂 / 距離 9.0km / 登り 7:10 / 下り 5:00 / 向いている人 上級者
- 中宮道:区間 中宮温泉〜室堂 / 距離 20.0km / 登り 14:00 / 下り 10:30 / 向いている人 上級者(縦走)
初心者向け:砂防新道で室堂泊(1泊2日)
- 登山口:別当出合(石川県白山市白峰)
- 所要時間:1日目 別当出合〜室堂 登り約4時間(休憩別)。2日目 室堂〜御前峰は早朝のご来光登山で片道約40分、下山は砂防新道で約2時間30分
- 距離:別当出合〜室堂 6.0km
- 注意する所:序盤から階段が続き、思ったより体力を使います。甚之助避難小屋、黒ボコ岩と休憩ポイントで小まめに水分と行動食を。黒ボコ岩から先は風を遮るものが少なく、天気が崩れると体が冷えます。
室堂で泊まれば、夕方の雲海と翌朝のご来光をねらえます。日帰りよりもペースに余裕ができるので、初めての白山にはこの組み立てがいちばんおすすめです。
中級者向け:砂防新道で登り、観光新道で下りる周回
観光新道は尾根道で展望がよく、花も多いコースです。一部に道幅の狭いところがあり、すれ違いに気を使います。別当坂分岐からの下りは急なので、ひざに不安がある人はトレッキングポールを使うと楽になります。登りに使うと標準時間で4時間50分と砂防新道より長くなります。
上級者向け:日帰り往復・お池めぐり・平瀬道や中宮道
- 日帰り:砂防新道の往復だけで標準時間6時間30分。山頂往復やお池めぐりを足すとさらに長くなるため、早朝出発と速いペースが前提です。夜間登山は禁止なので、暗いうちの無理な行動はできません。
- お池めぐり:御前峰の北側に広がる火口湖をめぐるコース。剣ヶ峰・大汝峰と合わせて火山らしい景色を楽しめます。
- 平瀬道:岐阜県側の大白川から室堂へ。東海方面からのアクセスに便利です。
- 中宮道・白山禅定道:距離が長く、山中泊を含む計画が必要です。
アクセスと駐車場
- 車:市ノ瀬から先の白山公園線(約5.4km)を進んだ先が別当出合です。この区間は冬期閉鎖があり、2026年は5月22日に開通しました。
- 駐車場:別当出合駐車場と市ノ瀬駐車場。7〜8月の週末やお盆は混雑し、2026年は別当出合駐車場で予約制の社会実験が行われました。出発前に環境省や石川県・白山市の最新の発表を確認してください。
- 大阪からの目安(編集部の実績):大阪市内から往復約600km。高速代は勝山ICまで約14,000円、ガソリン代は軽自動車で約7,000円でした(2022年当時)。
季節ごとの服装と持ち物
白山は2,700m級の高山です。下界が暑い時期でも、室堂から上は風が強く、朝晩は一気に冷えます。服装の基本は登山の服装の記事、持ち物のチェックは登山の持ち物リストで確認してください。
- 7〜8月(夏山):山の様子 高山植物の最盛期。混雑する / 服装・道具のポイント 汗を早く乾かすベースレイヤー、雨と風に備えたレインウェア、山頂のご来光用に軽い保温着
- 9〜10月(秋):山の様子 紅葉と冷え込み。天気が崩れると冬のような寒さ / 服装・道具のポイント 長ズボン、化繊の保温着、手袋、ニット帽。ヘッドライトは必ず
- 11月〜春(冬期):山の様子 道路が閉じ、山頂部は雪と強風 / 服装・道具のポイント 雪山の装備と経験が必要。初心者は登らない
足元:階段と岩の多い道が長く続くので、足裏を守れる、ある程度しっかりした登山靴が安心です。選び方は登山靴の記事へ。
保温着:山頂でご来光を待つ時間は想像以上に冷えます。下の体験記でも、化繊綿のアクティブインサレーションとフード付きの上着で寒さをしのいでいます。濡れに強い化繊は、汗をかいたあとに着ても保温力が落ちにくいのが長所です。気温がさらに下がる時期はダウンジャケットも検討を。
山旅ショップでは、行動中に着たまま歩ける山旅旅オリジナルの化繊ジャケットを扱っています。通気性が高く、登りで汗をかいても蒸れにくいので、白山のように「登りは暑いのに稜線や山頂は寒い」山で脱ぎ着の回数を減らせます。
手袋:体験記の筆者はメッシュの手袋しか持っておらず、山頂ではカイロで手を温めていました。秋以降は保温できる手袋を1組足しましょう。選び方は登山用手袋の記事で。
汗冷え対策:背中の汗が冷えるのは、白山のように標高差のある山でよくある悩みです。汗をため込みにくいメッシュ構造のベースレイヤーを選ぶと、休憩のたびに体が冷えるのを抑えられます。
そのほか、ご来光登山ではヘッドライト、雨の多い山なのでレインウェアも必須です。
白山登山の体験記(1泊2日の小屋泊)
ここからは、9月末に3回目の白山へ登ったときの記録です。本当は高山植物を楽しめる9月頭の予定でしたが台風で延期。過去2回と同じく別当出合からのスタートで、今回は白山で初めての小屋泊。しかも贅沢に個室棟です。
9月末日の白山登山の服装

天気予報は初日の昼頃雨、2日目晴れるかも?という感じ。星と御来光が小屋泊にした一番の目的なので、少し賭け。予報では室堂より上は秋の気配なので、久々に長ズボンの出番。


シャツはウール混の半袖。寒ければ山シャツを。シューズはARC’TERYXのアクルックス。そこそこしっかりしている靴。最近はベアフットシューズや裸足で山に行くことが多いので、固い靴に少し不安あり。
1泊2日の小屋泊登山のルート
- 1日目:別当出合~砂防新道~黒ボコ岩~弥陀ヶ原~白山室堂
- 2日目:白山室堂~御前峰~室堂~弥陀ヶ原~黒ボコ岩~観光新道~別当出合
1日目:別当出合から砂防新道で室堂へ
駐車場から登山口まで10分ほど。登山届を出して山行開始。


2回目も思ったけど、スタートして早々、白山ってこんなに階段やっけ?!景色の良さ、花の美しさでしんどい記憶が消されてる……。予報通り天気悪くガスで湿度が高く蒸し暑い。スタートから40分ほどしたところでYAMAPを起動していないことに気づいたけど、もちろん戻らずそのまま進む。

思ったより早く1つ目のお手洗いに到着。先は長いのでザックを下ろして肩をほぐす。小屋泊で枕とインナーシーツと少しの着替えが増えるだけで、いつもよりだいぶ重く感じる。5分ほどの休憩で行動食と水分補給をしてザックを背負うと冷たっっ。背中の汗が冷たい。こんなことにも季節が進んだことを感じる。

そろそろMILLETのアミアミ(ドライナミックメッシュ)の出番やな。前日も雨だったようで森は露でキラキラ元気。キノコもたくさん、特に真っ赤なキノコが印象的。途中から別山が見えるはずやけど、ガスが濃くて展望は一切なし。さっきのお手洗いから1時間半ほどで甚之助避難小屋に到着。ここにきて急にガスが晴れて万才谷が見える。

近くにいる人々と歓声をあげて写真を撮ったら昼食休憩。2つ目のおにぎりを食べていたら急に強い雨が降ってきたので、小屋の中に避難。広くて着替え用のカーテンもあります。このときは夏季トイレが満杯で来春まで使用不可、避難小屋内のトイレは使えました。


雨がやんだので黒ボコ岩へ向けて再スタート。しかし5分で降りだし、慌てて木陰でレインウェア(上のみ)を着てカメラをザックにしまう。雨は10分ほどでやんだが、体が冷えたのでレインウェアは着たまま。黒ボコ岩手前の谷のトラバースも濃霧で、素晴らしい景色は心の眼で。急登もなんとかクリアし、黒ボコ岩に到着。

今回履いているARC’TERYXのアクルックスは防水バッチリでそこそこ固い靴なので、足元が岩でゴツゴツしていても足裏が痛くならないし、ソールはVibramのメガグリップで滑りにくい。それでいて固すぎないので足運びもよく、このクラスの靴の中ではかなり軽量。

黒ボコ岩を出るとすぐに弥陀ヶ原。何回来ても「ここは天国か!?いや、弥陀ヶ原やから極楽浄土か!!」とノリツッコミしてしまうくらいテンションが上がる。

木道を5分ほど進むと1日目ラストの登り。レインウェアを着たままで、景色もない登りはきつかった。

室堂の屋根が見えるとほっとして一気に力が抜けた。ビジターセンターでチェックインして、翌日の昼食も注文。西に少し離れた白山雷鳥荘へ。入ってすぐ右に乾燥室があり、レインウェアを脱ぐと内側は汗でびしょびしょ。軽さ重視で透湿性の低いレインウェアなので仕方ないけれど、この濡れを浸水と勘違いしている人は意外と多いのです。シャツの速乾性を上回る発汗量で、背中はパンツまでびしょびしょ。気温はじっとしていたら寒いくらいでした。
部屋は4.5畳で余裕の広さ。荷物を置いたらコインシャワーへ(3分間で、石鹸やクレンジング等は使用不可)。

部屋でストーブにあたって暖まっていたら外が明るくなってきた。慌てて外に出ると、さっきまでのガスが晴れて秋の山頂がはっきりと見える。

ビジターセンターの南側に行くと夕陽と大雲海。青とオレンジのコントラストでまさにマジックアワー。弥陀ヶ原の木道が雲海に向かって伸びて、別世界に繋がっているよう。


縦に広がる巨大な雲の塊が、まるで雲の巨人が雲を吐き出して大雲海を生み出しているように見える。

10分ほどでまた一面ガスに覆われたけど、特別な時間になった。

ビジターセンターに戻り夕食。疲れた体に辛口のジンジャーエールがしみる。

夕食後、部屋に戻る途中に空を見るとたくさんの星。消灯の20時まで待って再度外に出たけど、そのときはガスで満点の星空とはいかなかった。

2日目:御前峰でご来光、観光新道で下山
4時30分起床。窓から外を見ると晴れてそう。5時47分のご来光に向けて5時前に出発。コースタイムは40分ほど。スタート直後はまだ暗くヘッドライトを使う。

20分ほどで空が白んできてヘッドライトをしまう。スタートから30分で登頂。


山頂東側にはご来光を待つたくさんの人。カリマーのinner insulation jk(アクティブインサレーション)をミッドレイヤーに、ARC’TERYXのインセンドフーディをアウターに着てしばらく待機。カリマーのジャケットはプリマロフトゴールドを使った化繊綿ジャケットで、ダウンと違い濡れに強く、フリースよりも保温性が高いのにコンパクトになる。風が強かったがフードを被れば寒さはしのげた。手袋はメッシュタイプしかなかったのでカイロで温める。

時間になってもご来光はついに現れなかった。しかし、朝焼けにシルエットの槍ヶ岳、雲海に浮かぶ恵那山、前日は見られなかった大迫力の別山。たくさんの景色を眼に焼き付けた。

山頂標識側に移動。剣ヶ峰、御池、大汝峰がばっちり。

お池めぐりと大汝峰に登ってから室堂に戻る予定だったけど、体がかなり冷えていたので写真を撮ったら下山開始。

下っている途中にも雲はどんどん薄くなり、雲の隙間からあふれる光が雲海と恵那山を照らすスポットライトのよう。



ビジターセンターに戻り朝食。チェックアウトの9時前まで部屋のストーブで暖まる。

白山国立公園60周年記念のバッジを買って、別当出合に向けて下山開始。下山ルートは初めての観光新道。

弥陀ヶ原ではあまりの気持ちよさにスキップ。


黒ボコ岩では立っていられないくらいの暴風だったけど、迫力の別山。ここから観光新道へ。

前日歩いた砂防新道が見え、別当坂分岐までの稜線がずっと続いている。まずは見えている殿ヶ池避難小屋を目指す。


観光新道は一部細くすれ違いに気を使うけど、基本的には歩きやすく、花も砂防新道より多く感じる。




殿ヶ池避難小屋は桧の香りが心地いい。お手洗いもある。日差しが強いのでしっかり水分補給を意識。白山釈迦岳や七倉山の迫力も抜群。



岩のトンネル仙人窟をくぐり、別当坂分岐で左へ。地図ではここからかなりの激下り。分岐直後は少し急だったけれど、全体的によく整備されていて思っているほど苦にならない。靴がしっかりしているので足裏が痛くならず、安定感がある。

ブナが少し色づいた森、小さな滝を過ぎると無事下山。

近くの白峰温泉総湯に寄り、ぬるっとしたお湯と蜂蜜ソフトクリームで疲れを癒して帰阪。天気予報をしっかり見極め、2日目の晴れを信じて歩き始めてよかった。白山3回目にして初めての小屋泊は、いろんな意味で良い思い出になりました。
よくある質問
白山は初心者でも登れますか?
夏山シーズンに、砂防新道を使って室堂で1泊する計画なら、日帰りの低山に何度か登った経験がある初心者でも目指せます。標準時間で登り4時間、下り2時間30分の道を歩ける体力と、2,700m級の寒さへの備えが条件です。
白山は日帰りできますか?何時間かかりますか?
砂防新道の往復は標準時間で約6時間30分(休憩別)。室堂から山頂の往復も加わるため、休憩込みで丸一日の行程になります。夜間登山は禁止されているので、体力に自信がない人は室堂泊にしましょう。
トイレはありますか?
砂防新道の途中の休憩所や甚之助避難小屋、室堂、殿ヶ池避難小屋などにトイレがあります。季節や満杯で使えない場合があるので、携帯トイレを持つと安心です。
冬(11月以降)は登れますか?
登山口へ続く白山公園線は冬期閉鎖され(前シーズンは11月13日に閉鎖)、山頂部は雪と強風にさらされます。雪山の装備と経験がある人だけの世界で、初心者が登る時期ではありません。
登山届は必要ですか?
白山の活火山地区を登る場合は条例で義務です。登山口のポスト、インターネット、スマートフォンから提出できます。
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