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木曽駒ヶ岳 / 初めましてのお友達

木曽駒ヶ岳 / 初めましてのお友達

01 | 二人の世界

ジュンとばかり山に行っていた。
一回の山行を山歩きJPとしてコンテンツ化しなければいけないという義務もあるが、試しに他の人と山に行ってみても「結局二人で行くのが楽しいね」となってしまう。よく同世代の子が「登山に興味があるけど周りに登山する人がいない」と言っているのを聞くが、それ本当?と疑いたくなるくらいには、私の周りには登山に興味がある人が多い。それなのに「一緒に登山に行きたいな」と言ってくれたいろんな人の縁をやんわりお断りするほど、これまでジュンとばかり山に行っていた。

登山のSNSがある。私も山歩きJPを始めた頃、その界隈のSNSがあることを知り「ユウ」としてアカウントを作った。登山のおすすめ関連が出てくるように、かわいいなおしゃれだなと思う写真の人を直感でフォローしていった。
しばらく経つと、SNS上で同じ写真に写っている人たちが、どうやら私とジュンのような「元々の友達」ではなく、「SNS上で知り合って友達になっている」らしいと知る。ほえ〜すごいな〜SNS。私もちょっと出会ってみたい。
と思って、「出会い目的」(マッチングアプリみたいで恥ずかしい)の下心を持って何人かと会話したことがあるが、とてもとても一緒に登山に行けるところまで辿り着く気がしなかった。
過去に本物のマッチングアプリをやって人に会ったことがあるが、「自分をよく見せられる部分しか切り取ってないこの会話で、相手のことを好きになるなんて無理ですね」と思ってやめた。その時と非常に近い感覚。
まあ、ジュンがいるからいいんだ。

ということで、その発信活動の頻度に比べると、非常に閉鎖的な交友関係を築いてきた私(たち)。でもヒカキンも「僕びっくりするほど誰ともつるまないんです」と言っていたから、その偉大さと交友関係の広さは別に関係ないみたいだけど。

02 | 好奇心

そんな中で出会ったのが、今回一緒に山に登ったオサダさん。おっさーと呼んでる。
イベントのお誘いがあって、私のところに連絡をくれた。残念ながらそのイベントには参加できなかったんだけど、それよりもそのお誘いチャットで話したおっさーの人柄が素晴らしすぎて「てかイベントよりもあなた自身ともう少し話したくなったんですけど、ご飯行きませんか?」とナンパのように声をかけて、仕事終わりに会うことに。
会ってみたら期待通りのいい人。気遣い配慮・物腰の柔らかさが素晴らしく、その日を気持ちよく締めくくることができた。

そんな私とおっさーの出会いから始まったご縁が、今回の5人での旅だった。
おっさーと、そのお友達のひなこちゃん、大地くん。大地くんはイベントで会った時に「この人鳥博士なんだよ」とおっさーに紹介されて、一緒に山に行ってみたい!と思っていたし、ひなこちゃんは私の登山SNSディグり期にフォローしていたかわいい子だった。なんだいい人しかいないこのパーティは。
初対面が若干苦手なジュンのことを心配しつつ、幾度かのリスケを経て満をじして今回の旅が始まった。

「雪山に行くんだ」という意思だけはっきり持ちつつ、ベストな天気を求めて本当にギリギリまでみんなで山を選ぶ。いつもはジュンと二人でやってる(というかほぼジュンがやってくれてる)けど、今回はグループラインでそれができるし、おっさーの主体性が素晴らしいので、終始生産性のあるやり取り。久しぶりに、ジュン以上に主体的に山決めしてくれる人見た。山にもたくさん登っているみたいだし、とっても頼りになる。でもそのことが信じられないくらい、山に登っている事実をひけらかさないし、自分より体力のない私たちへの寄り添いがすごい。まるでおんなじ登山歴、おんなじ体力なんだと錯覚するほど。そういうところが、彼の魅力だと思う。
安達太良山、西穂高など候補地をぐるぐる調べ尽くし、今回は木曽駒ヶ岳に決定。
私は前日に1日会議&懇親会の幹事だったので、肝心の前日の会話に参加できず、「今飲み会のDJブースにいるんですけど集合時間どうなりました?」とラインを入れたせいで、大地くんに会って早々「DJやってる人なの?」と聞かれるハメになった。イントロドンの音楽係をDJとは呼ばないらしい。

03 | はじめまして

集合は朝4時半に八王子。おっさーが「ここのパーキングが安いよ!でもいっぱいだったら他の候補教えるから言って!」と連絡してくれていた。安いから人気なのかなと思いながら指定されたパーキングに着いたら一台も車なくて「八王子に人気の場所なんて一箇所もあるわけないか」と思った(過激)。
レンタカーしてくれてたスタッドレス車の中でみんなと初めまして。三列シートは遠足みがあって楽しいね。一番後ろの人がザックに囲まれすぎて貨物化しているのも、登山ならではのご愛嬌。今回の貨物担当は大地くんです。5人中2人なので、勢力図的にマイノリティな私たち二人を真ん中のシートにしてくれて、本当にご配慮ありがとうございます。

行きの車はハイテンションで自己紹介および質問大会をするのが鉄板だが、それをするにはあまりにも前日寝てなさすぎたので、移動時間を利用して2時間の爆睡をかます。途中SAに寄って朝ごはんを買う。パンとコーヒーを買ったのに、おじさんが食べているラーメンが美味しそうすぎてラーメンも食べた。注文したらおじさんが食べてたラーメンと違うのが出てきてしゅん。
3人はおにぎりがあると言っていたが、それはひなこちゃんが作ったキムチビビンバおにぎり。めちゃくちゃデカくて美味しそう。「流石に初対面の人に自作のおにぎり渡すのどうかと思って」と3人分にしたらしい。そりゃそう。
でもめちゃくちゃ美味しそうだったから、次は一緒に食べたいな。ちょうど5人分のお米分を頑張って3人分で握ったくらいデカかったから、5人になったらちょうどいいはず。

ひなこちゃんがガチャガチャでゲットしたという腕時計を自慢された。マリオの1UPきのこのモチーフで、「これが欲しい!」と懇願して回したら一発目で出たんだそう。
そういう、ゲットに至るまでのエピソードがあると、モノへの特別感が増すよね。時計のデジタル盤が小さいからなんだけど、それを覗き込む時のひなこちゃんがとても丁寧に時計を眺めていて、それがその時計をすごく大切にしている仕草に見えるから、なんか愛おしかった。


バス乗り場の駐車場に到着。めちゃくちゃ寒い。ジュンは横着して車の中で準備していた。
みんな雪山装備を準備する。1年ぶりの雪山だから、ものすごくモタモタした。記憶を頼りにゲーターをつけて、ザックの中身を整えた。前日に綺麗に入れたはずなのに、もう中身ごちゃごちゃ。でも見えないからもういいや。
ピッケルは一生自分でつけられるようにならず、でもジュンがいるから大丈夫。うまくつけれないところにヘアゴムを用いて綺麗にしてくれた。いつもありがとう。
みんな同世代の山界隈を生きているから、持ち物で被っているものがちょくちょくあった。そしたら大地くんが「おれ個性なくてダサいな。ザックも靴も誰かしらと被っていて、みんなの二番煎じみたいな・・・」と呟いてて、ネガティブすぎて好き。私なら「私のセレクトってみんなのいいとこ集めじゃ〜ん♡」って言う。

バスもロープウェイもおっさーが事前手配済み。有能だし、スタンスが素晴らしい男。
バスそこそこ待った気がするが、天気がいいことが確認できているのでずっとご機嫌。インスタ360で遊んだりしながら、バスを待ちながら。


バスは1番後ろの席に「陽キャ席だ〜♩」と言いながら5人で並んで座った。バスに座った瞬間ひなこちゃんが「は〜寝よ寝よ」と言っていて、バスに揺られながらつい寝ちゃうんじゃなく、バスを睡眠時間と捉えていることに気合を感じる。まあ絶対に寝ちゃうの確定なので、一番正しい。
と思ったら、起きた時にジュンと大地くん一生二人で喋ってて、強者だと思った。

04 | 標高2,612m

ロープウェイにも乗って千畳敷カールまで運んでもらう。朝の都営三田線と同じ満員具合に加えて、ピッケルという凶器、25万のカメラなど剥き出しにしている状況なので多方面に気を使い、なかなかにしんどいものがあった。初めてロープウェイの案内に「左手をご覧になってる場合じゃないから早く着いてくれ」と思った。

到着したら、想像以上の真っ白な世界!!!もうサングラス無しではいられないこれは。
千畳敷のカール部分に雪がたっぷり溜まって、眩しいのなんの。白っていうか、銀だね。
山頂の方にはグレーの岩が露出して、白の間から突き出している。そのさらに上には、青すぎる空!3色の完成された色合い、これ見れただけで満足じゃね?ってひなこちゃんとぼやく。
こないだ彼氏に「服の色は3色までにまとめたらいいと思うよ」と控えめに言われたことを思い出した。トリコロールばりにはっきりとした、雪山の3トーンコーデいいね。

空の青が、青すぎて黒。リアルに言うと群青。雪の白とのコントラストのせいなのかわからないのだけど、それにしても紺すぎる。木曽駒ヶ岳のここの空だけ、空に塗る絵の具の配分を間違えている。実はここだけ、夜なのかもしれない。

今日の行程、めちゃ短い。おっさーがお気遣いでそうしてくれた。雪山慣れてないし、かつこんなに天気がいいからたくさん写真も撮りたい。ナイス配慮。
ロープウェイ乗り場から滑り降りた後、少しずつカールの登りを進んでいく。後ろを振り向くと、八ヶ岳やら南アルプスやら見えた。向こうも上の方白いけど、ここの雪が一番白い気がする。だってこんなに眩しいもの。
リアルに10歩進んでは休憩。休憩ってか、写真撮影タイム。みんな各々のカメラに良い被写体を収めたく、寝転びながら画角を探す。ひなこちゃんは優しいきなこ色のコーディネートで、お顔の色も白いのでほぼ雪山に溶けていた。

続く。

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