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八ヶ岳・天狗岳 森と岩を巡る夏の山行—灯りが結ぶ一期一会の夜。

八ヶ岳・天狗岳 森と岩を巡る夏の山行—灯りが結ぶ一期一会の夜。

八ヶ岳という山域 ― 森と岩が織りなす山岳舞台

長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳は、南北に連なる中で全く異なる表情を持つ山塊です。南八ヶ岳が赤岳(2,899m)を主峰とするアルパインな岩稜帯である一方、北八ヶ岳は苔むした原生林と静かな池が織りなす神秘的な世界が登山者を魅了します。この岩と森が描き出すダイナミックなコントラストが八ヶ岳の真髄であり、その多様な自然を舞台に、初心者から経験者まで楽しめる多彩な登山ルートが整備されています。また、稜線や森に点在する個性豊かな山小屋やテント場も、訪れる人の山旅を一層魅力的なものにしています。

今回はその数ある選択肢の中から、北八ヶ岳の森と岩の両方を楽しめる「唐沢鉱泉」を起点に「天狗岳」を越え、「黒百合ヒュッテ」に宿泊する周回ルートを。登山初級者向きとのことで楽勝とテン泊重装備で臨みましたが、結果的にこの判断が後にじわじわと体に響いてくることになります。

天狗岳登山口駐車場

8月中旬、天狗岳登山口駐車場(標高1,870m)の駐車場に到着したのは朝4時前でしたが既に満車に近く。駐車場は約30台分のスペースがあり、無料で24時間利用可能です。夏季や週末は早朝から混雑し、平日でも7時頃には満車、土日祝は5時台で埋まることもあります。施設内には登山者も利用できるトイレがあり便利ですが、満車時は代替手段の検討が必要です。前泊や車中泊での早めの到着がおすすめです。

唐沢鉱泉は八ヶ岳・天狗岳登山道の入り口に位置する山奥の温泉宿、登山の拠点として便利。冷鉱泉を加温した湯が特徴。宿泊はもちろん、日帰り入浴も可能で登山後の疲れを癒すのにぴったり、詳細は後ほど。

苔の森を抜けて、天狗岳へ

登山道に入ると、すぐに苔むした森が広がる。シラビソやコメツガの針葉樹林が天を覆い、足元にはびっしりと苔。木漏れ日が差し込み、幻想的な雰囲気に包まれる。

登山道脇にはイブキジャコウソウなどが咲き誇り、8月の高山植物も愛でつつ歩を進めます。

西天狗岳の急登 ― 岩と風と限界の先へ(個人の)

第1展望台(標高2402m)を過ぎると登山道は岩場の急登に変わる。西天狗岳(2,646m)への道は、大小の岩が連続し、手を使って登る場面も増えてくる。ザックの重さ、気温上昇、そして標高差。徐々に脚重く、ふくらはぎがピクつき始める。水分は十分に摂ってたけど、足が攣りスピードダウン。パートナーには「このルート、テン泊装備背負っては無謀だったんじゃ、今のマナブの体重と体力で」と、、、、

天狗岳の稜線 ― 空と風と花の世界

西天狗岳の頂上に立つと、視界が一気に開け遠くには南八ヶ岳の岩稜が連なる。風が抜け雲が流れ、空が近い。が、頭痛に少々の吐き気、これは高山病の初期症状かもしれない、、、いや、立派な高山病です。景色最高だけど気持ち悪い、、、パートナーにロキソニン他を無心。

東天狗岳(2,640m)から黒百合ヒュッテまでの3km程の天狗の奥庭、自分には果てしなく遠く、頭重く足は攣りかけ、数歩進むだけで息が切れる。立ち止まるたび岩の造形や苔の緑、小さな花に目を奪われ、撮影という名の休憩を繰り返す。カメの遅さにパートナーも呆れ、黒百合ヒュッテのシチューが時間切れで食えないと怒られる。

ふと顔を上げると、空の青さが目に染みる。遠くの山々が静かに連なり、眼下には黒百合の森が広がっていた。黒百合ヒュッテが森の中にぽつんと見えた瞬間、ほんの少しだけ足が軽くなった気がする。

黒百合ヒュッテ ― 苔の森に灯る山小屋

ふらふらしながら黒百合ヒュッテに到着したのは午後3時過ぎ。コースタイムのほぼ倍という体たらく。標高2,400mに位置するこの山小屋は、北八ヶ岳の登山道が交差する要所。木造のあたたかみある建物、談話室の薪ストーブ、窓の外に揺れる針葉樹——ここは登山者の疲れを包み込むような空気に満ちている。テント泊は1人1,500円、水は天水を利用できる。トイレは臭わずとても清潔。幕営後しばらく安静にしていると体調も徐々に回復した、、、、かも。

UL1.5 ― 灯りがつなぐ団欒の輪
夕暮れの小屋前は、ヒュッテ泊の食後の団欒、テン泊の登山者の夕べが集い語る。若いご夫婦もいれば、一人で来た人も。見ず知らずでも「山」という共通の話題で皆はすぐに打ち解ける。

持参していた「HEXAR 」を6灯、各グループに分けて灯してみた。小屋前は小屋の中より明るくなり、場の空気が華やいだ。人は灯りのある場所に自然と集まる。山でもそれは変わらない。

「この灯り、いいね」「どこのメーカー?」そんな声が聞こえ、笑顔が光に照らされる。皆の団欒が嬉しく、灯りがただの道具ではなく、人と人をつなぐ存在に。時間を忘れ就寝時まで途切れることなく続く山話と笑顔が、夜の小屋前を温かく包む。その中心に「HEXAR 」の灯り。

HEXAR UL1.5 は、テント泊に最適な超軽量ランタンです。重量はわずか48g。3lmまで絞れる無段階調光で、夜間の読書や就寝前にも最適です。IP66防水・−10℃耐寒の高い耐久性を備え、悪天候や冬山でも安心して使えます。充電はUSB Type-C対応で手軽に行えます。軽量でコンパクトながら、高性能と耐久性を兼ね備え、登山やキャンプのあらゆるシーンで活躍します。

下山、そして唐沢鉱泉 ― 湯にほどける山の疲れ

明けて2日目、体調は完全には回復せず、ゆっくりと朝の時間を。秋の気配を運ぶそよ風が心地よい。名物のシチューの香りが小屋の中に漂い食欲をそそる。

支度を整え下山を開始する。道はアップダウンが少ないものの、ガレ場や苔むした岩場が続き、何しろ滑るので油断は禁物。慎重に足を運びながら、苔の森の美しさに心を癒される。

苔の森を抜けて唐沢鉱泉手前、庭園のようなコバルトブルーの水を湛えた神秘的な池が。後にそれが唐沢鉱泉の「源泉」と知る。地中から湧き出る鉱泉が池を満たし、底の白い「湯の花」と緑のコケと調和した景観に静けさと美しさを感じます。

天狗岳登山道起点、唐沢鉱泉は10 ℃の源泉を加温した鉄分豊富な鉱泉。日帰り入浴は午前10時~午後3時30分(受付午後3時まで)。湯船は石造りで、ほんのり赤みを帯びた湯が肌を包み込む。窓の外には針葉樹の森が静かに揺れ、湯気の向こうに差し込む光が、まるで森の呼吸のよう。

湯上がりには、クラシカルな趣きの深いソファーに身を沈め、静かな時間が流れる。遠くの森のざわめきだけが響く空間で、登山の疲れが静かにほどけていく。

このレポートはSupported by HEXAR 公式アカウントでは山旅風景の美しさ・楽しさを配信しています。

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