この記事の要点:札幌管区気象台は2026年11月4日午前10時、北海道東部の雌阿寒岳(1,499m)の噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から1(活火山であることに留意)に引き下げました。レベル1に戻るのは2025年9月以来、約1年2か月ぶりです。ただし火口の中や周りでは火山ガスや火山灰の突発的な噴出に注意が必要で、山はすでに冬の季節に入っています。
何が発表されたか
雌阿寒岳は2025年9月に火山性地震が増えるなど活動が高まり、レベル1から2に引き上げられていました。その後、2025年秋や2026年3月にごく小規模な噴火が観測された時期もありましたが、それ以降は噴火が観測されておらず、5月ごろからは噴気の活動も弱まってきていました。気象台はこうした状況から火山活動が低下傾向にあると判断し、11月4日にレベルを1に下げ、火口周辺警報を解除しました。
くわしく:これまでの規制と今回の変化
レベル2の間、気象台はポンマチネシリ火口からおおむね500mの範囲で、噴火にともなって弾道を描いて飛ぶ大きな噴石に警戒するよう呼びかけていました。山頂付近はこの範囲にかかるため、山頂周辺には立ち入れない状態が長く続いていました。
- 噴火警戒レベル:レベル2の間(2025年9月〜) 2(火口周辺規制) / 11月4日から 1(活火山であることに留意)
- 警戒の範囲:レベル2の間(2025年9月〜) ポンマチネシリ火口から約500m / 11月4日から 火口内など(状況により火口周辺)
- 主に注意すること:レベル2の間(2025年9月〜) 大きな噴石・風下の火山灰 / 11月4日から 火山ガス・突発的な火山灰の噴出
- 登山道の扱い:レベル2の間(2025年9月〜) 山頂周辺は立ち入り規制 / 11月4日から 地元の自治体(足寄町・釧路市)の案内で確認
レベル1は「安全になった」という意味ではありません。気象台は、火口の中では火山ガスの噴出や、前ぶれなく火山灰が噴き出すことがあるとして、引き続き注意を呼びかけています。登山道の通行の扱いは、レベルとは別に地元の自治体や火山防災協議会が決めます。山頂へ向かう前に、足寄町・釧路市(阿寒町)の最新の案内を確かめてください。
登山者にとっての意味・気をつけたいこと
雌阿寒岳は、オンネトー側や雌阿寒温泉側から登れる道東の人気の山で、山頂からは赤沼や青沼を抱えた火口や阿寒富士を見下ろせます。山頂が再び目指せるようになれば、来年の夏山シーズンに向けてうれしい知らせです。一方で、11月の道東の山はすでに冬です。いま歩くなら次の点に気をつけてください。
- 火口の縁に近づきすぎない:火口からは噴気が上がっています。風向きによっては硫化水素などの火山ガスが流れてくるので、くぼ地や風下に長くとどまらないようにします。息苦しさや目・のどの痛みを感じたら、すぐに風上側へ離れます。
- 雪と凍結:山頂付近はハイマツ帯より上が砂礫の斜面で、雪がつくと凍って滑りやすくなります。チェーンアイゼンなどの滑り止めを持ち、凍った斜面では無理をしないことが大切です。
- 日の短さと強い風:11月の道東は16時過ぎには日が沈みます。森林限界を越えると風をさえぎるものがなく、体感温度は大きく下がります。早い時刻に出発し、昼過ぎには下山を始める計画にしましょう。防風・防寒着とヘッドランプは必ず持っていきます。
- 登山口までの道路:オンネトー方面の道道は毎年冬期通行止めになります。冬に入るとアクセスが大きく変わるので、北海道や足寄町の道路情報を確かめてから出かけてください。
次の発表の予定や、確かめ方
火山の状況は、気象庁の「噴火警報・予報」と「火山の状況に関する解説情報」で確かめられます。雌阿寒岳のページでは、現在のレベル、警戒の範囲、最新の解説情報をまとめて見られます。北海道の活火山では、北海道駒ヶ岳のように今もレベル2が続いている山もあるので、道内の火山に登るときは出かける直前にレベルを確かめる習慣をつけておくと安心です。
登山道の通行の扱いや冬の道路は、地元の自治体の公式サイトでお知らせが出ます。また、北海道では北海道警察のホームページなどから登山届(登山計画書)を出せます。冬の道東の山に入るときは、行き先と下山予定を家族にも伝えておきましょう。
出典:NHK「雌阿寒岳 噴火警戒レベル1に引き下げ」(2026年11月4日)/デイリースポーツ「雌阿寒岳、警戒レベル1に」(2026年11月4日)/時事通信(リスク対策.com掲載)「雌阿寒岳、警戒レベル1に=気象庁」(2026年11月4日)/札幌管区気象台「雌阿寒岳 火山の状況に関する解説情報 第27号」(2025年11月10日)(2026年11月5日確認)





